ひとりぼっちの夜は、君と明日を探しにいく
――『世那待ってよ!私の告白の返事は……』
暑い暑い夏。いつも遊んでいるメンバーで花火大会に行ってその雰囲気に身を任せて告白をした。
だけどいつものようにスルー。実はこれで3回目。今日こそは返事を!と、みんなと解散したあと内緒でその背中を追いかけた。
足の長いきみは歩くのも速くて、見失いそうになったところでやっと発見。
立ち止まるその横顔に声をかけて、何故だかバチバチと夜なのに辺りがオレンジ色になっていた。
ハッと目線をずらすと、そこには燃え盛る炎。
大きな一軒家が音を立てて崩れていく。
『か……火事?』
その暑さは風に乗ってこっちにまで伝わってきて思わず後退りをしてしまうほど。気づいた近所の人たちが大声を出していて辺りは騒然としていた。
だれの家かは分からない。
だけど大変なことになってることは分かった。
『は、早く消防車を呼ばないと……っ!』
ポケットからスマホを出した。その時、周りの人たちの声が耳に入ってきて「詩月さん家が燃えている!」と、誰かが私よりも早く消防署に連絡をしていた。