ひとりぼっちの夜は、君と明日を探しにいく
「羽柴ってやっぱり学校だと雰囲気違うよな」
そしてまた水曜日がやってきた。切り取られたように外部からの音がしない放送室。最近ハマっているコンビニのメロンパンを食べながらお茶で流し込む。
詩月は2学期になってもあの放送を続けていて、今日も投稿ボックスにはたくさんの相談用紙。
「そういえばさ、なんかあった?」
詩月が読み上げる相談内容を選びながら言った。
「……なにかって?」
「ほら一緒に出掛けたあの日以来、メールしても電話しても返ってこなかったし。スマホ忘れたとか言って電車に乗らなかったから、なんか怒らせるようなことしたかなってずっと気になって」
詩月はそう言って真っ直ぐに私を見つめる。
悔しいぐらい整ってる顔。そんな求めるように見つめられたら大抵の女子が心臓を高鳴らすだろう。
私からの連絡を待っている時間があったなら、
クラスメイトたちへの返信ができただろうに。
「私、詩月が思ってるほど暇じゃないんだよね」
嘘。1000ピースのジグソーパズルを完成させちゃうぐらい暇だった。
「暇だなんて言ってないだろ?あ、やべ。そろそろ時間だ」
詩月が相談用紙を手に取ってマイクの前に座る。いつものように〝しー〟と合図をして校内放送のスイッチを入れた。
『皆さんこんにちは。水曜日のなんでも相談コーナーの時間です』