ひとりぼっちの夜は、君と明日を探しにいく
それは孫の世那。
小さい頃から物覚えがいい子で、『おばあちゃん!』と駆け寄ってきてくれるだけで心が和むほど可愛い孫だった。
そんな世那が次第に変わっていったのは中学生になった頃だった。目付きも顔つきもまるで別人のようで……。だから今日美恵子を家に呼んだ。
少ししつけに対して厳しすぎたのではないか。
理想や考えを押し付けすぎていないかと自分のことを棚にあげて言った。
案の定、口論になってなにも解決しないまま娘は帰ろうとしている。
『お母さん。私間違ってると思ってないから。
あの子には……世那にはたくさんの選択肢を与えてあげたいの。そのためには勉強を頑張っていい大学に行ってもらいたい』
『……美恵子』
『多少厳しくても、あの子の将来のためだから』
そう言って娘は帰ってしまった。
今でも後悔している。どうして『もっと世那と話したほうがいい。あの子の気持ちをちゃんと聞いてあげて』と言わなかったのだろうかと。
だからあんなことが起きてしまった。