ひとりぼっちの夜は、君と明日を探しにいく
『ばあちゃん。なんで俺逮捕されねーの?』
世那を引き取った。なんとしてもこの子だけは守らなきゃいけないと思った。
〝あれ以来〟世那はなにも食べず怯えたように暗い部屋で過ごす毎日。
『俺が殺した』
そう、戒めるように同じ言葉を繰り返している。
『バカなことを言うんじゃないの!世那がそんなことするはずない!私は世那のことを信じ……』
『俺がやったんだよ!』
幼いころの面影はなくて、ひどく疲れたような顔。
世那だけは守らなきゃいけない。あの日のことを……この子が壊れないように家にあった写真や思い出してしまうような物はすべて処分した。
それが防ぐことのできなかった自分への罪。
『大丈夫。なにも心配しなくていいんだよ』
肩を震わせてうずくまる世那を力強く抱きしめた。
プツリとそこでおばあちゃんの思念は消えた。
詩月の家に写真が1枚もなかった謎。それはおばあちゃんが詩月のことを守るためだった。
おばあちゃんはそのあと、私を美恵子さんだと勘違いして取り乱したせいか子どものように眠ってしまった。
そして介護施設を出て、私たちはいま考えるように無言で駅に向かっている。