ひとりぼっちの夜は、君と明日を探しにいく
「ねえ、詩月」
私はピタリと足を止めた。まだ思念の余韻が残っているけど気にしてるのはそれじゃない。
「見えたんでしょ?」
おばあちゃんの手に触れている時、詩月はそっと私の左手を握った。きっとあの光景は繋がっていた詩月自身に鮮明に伝わってしまってると思う。
〝俺が殺した〟〝俺がやった〟
失っていた時間の中で言っていた言葉はあまりに衝撃的だった。
真実はまだ分からない。だってあれはあくまでおばあちゃん側からの思念だから。詩月からは相変わらずなにも見えてこないけど、少しだけ顔つきが違う。
「……俺さ、いつも繰り返し見る夢があって。オレンジ色の光の中でみんなが俺のことを人殺しだって罵倒するんだ」
「………」
「すげー後味が悪い夢なのに妙にリアルで。
……多分それって俺の記憶と関係あることだったんだな」
だけど詩月は見たことを後悔している顔じゃなかった。
――『もし記憶が戻る前の自分と今の自分がまったくの別人だったらどうする?』
今あの時と同じ質問をしたとしても、詩月はきっと私に同じ答えを言うのだろう。
それでも受け入れる。それも自分なんだから、と。