ずっと好きだった。でも今は彼の事しか見えない。
僕たちがつきあっているというのは、ごく少数の友達しか知らなかった。

別に知られても平気ではあったんだけど、わざわざ見せつけて、反感を買うこともないだろうと思っていた。

それにいつもと違った風景に、身を置きたかった。

いつもの同級生のあふれている図書館ではなくて、誰も僕たちの事を知らない空間で、遙香と一緒に過ごしたかった。

たとえ僕たちの間に受験という大きな障害があっても、遠くに行けば乗り越えられる。

遙香の気持ちも少しは柔軟になる。

そういう期待もあった。
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