ずっと好きだった。でも今は彼の事しか見えない。
僕は駅に向かう道を外れ、予め調べておいたホテル街の方へと向かった。

人通りは相変わらず多かったけど、家族連れが少なくなって、大人のカップルやちょっと柄の悪いグループの割合が増した。

少し遠くにホテルの看板が見えた。

僕はその看板を目で追わないように、半ば目を背けるようにでも、その方向に歩いた。

高い建物の間の細い路地に入ると、人通りは一気に少なくなり、駅とは違う方向に向かっていることが明白になった。

それでも遙香は何も言わずに僕と一緒に歩いた。
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