ずっと好きだった。でも今は彼の事しか見えない。
「私が紹介したようなものね」

と燁子は言った。

悪戯っぽい目で笑った。

小学生みたいに。


「もう何年前だ。小学校の時、よく四人で遊んだよな。秀人、あいつ、何してるんだろうな?しれっと勉強して、私立の中学校に行って、それから音沙汰なしだよな」

「秀人は柴田とつきあってるらしいよ」

「ええ!柴田ってあの柴田?嘘だろう?なんでまた?」

「柴田の家、大金持ちだからじゃないかって誰かが言ってたけど、本当は違うと思う。

柴田って、綺麗なのよ。

心が。

純粋というか嘘がないというか。

そう言うところ、秀人は見てたんじゃないかな」


「ええ?あの打算的な秀人が?金持ちになるために医者になりたがるような奴だよ。そのために勉強してるやつだよ。しかも、ライバルが増えるからって、こっそり勉強してたやつだよ。あの秀人が心が綺麗だからって、柴田と付き合うかな?」
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