ずっと好きだった。でも今は彼の事しか見えない。
「人はね、いつか突然、何かに突き動かされたみたいに、理不尽なほど激しく、無慈悲に、人を好きになるの。

そこには利害関係とかそういうのは全くなくて、ただただ飲み込まれていくだけなの」

「それは誰の何の話し」

「私が彼を好きになった時の話よ。

本当言うとね、ずっとね、好きだったわ。

雅典の事を。

幼稚園の頃から高校生の時までずっと。

私の初恋だったの。

雅典が。

知ってたわよね?

なんとなく伝えたつもりでいたけど。

でも、叶わなくても良いと思ってた。

私の想いがそこに有ればそれでいいと。

でもね、彼に出会って、彼を経験して、全く別物だってわかったの。

体験して理解した。

本当の恋というのはこういう事だって」


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