虹の翼
前世
目の前に壁に掛けた長方形の枠がある。
その中の色は黒一色で、なぜそこにあるのか分からなかった。
__もうすぐ見えるよ。
ボーイソプラノの声が聞こえて来ると黒一色だった枠の中の色は鮮やかにかわった。
綺麗な茜色の空に大荷物を肩に掛けた15歳ぐらいの男子が左手に食べ物_アイス(ん?なんで僕は知っているのだろう?)を持ってかじりついていた。
――――そう、たしかあの日は師匠が本家に呼ばれて数日は稽古を付けられないと仰って何時もより濃密な薙刀の稽古を付けて下さった日の帰り。
それで、確か、俺は―――
__はい。ストップ。
さっきの声が聞こえてきて、
__いま、君に見せれるのはこれだけ。もう、分かったでしょう?君は前世を持つ者。
__ぼくに高い適性を持ちながら将来は国を守る立場の人間。
国を守る立場の人間だからこそこれを頼みたい。
どうか、ぼくのいとおしいこの世界を守っておくれ__