虹の翼
「俺は先に研究所にいる姉さんの所に行く。ミオは父さんの所に行って事情説明と応援、上位の医術師を呼ぶ様に。」そう言うと部屋から出て研究所(と言っても正式には学問研究所、フェリシア姉さんがよく居る所は術具研究部、だけど。)
部屋を飛び出した俺は、皇族居住区から研究所のある東棟の先にある場所に回廊を走って行く。
(くそ!翼があれば真っ直ぐ行けるのに!)
走りながら愚痴るけど、無いものは仕方ない。
皇族居住区から出て、内政を行う中央棟を中継して東棟のつなぐ外廊に出ると騒ぎが聞こえてきた。
階段を上って連絡通路を走ってると焦げた匂いがした。
(まじ、かよ。)俺の根本にある恐怖が呼び覚まされそうだが、今はまだ間に合う。
姉さんのよく居る研究部の扉を開けると姉さんの護衛役が一人倒れていて、もう一人は姉さんを護るために防御陣を展開している。防御陣に攻撃を弾かれてるのに諦めずに攻撃し続ける男の人。…やっぱりか。
術具の研究部ってこともあり、試作品やらが沢山ある一部が小火も起こしてる。
「いい加減にしろ―――――!」
気合いの入った氷で小火とその男の攻撃を強引に終了させた。