虹の翼
「姉さん、ルノリア、助けに来ました。リリアの救助をします。ルノリアは気絶したアズール侯爵令息の拘束を。」
そう言うとリリアの様子を見ると__まじかよ。
(解毒薬はない__なら現状維持だけでも)
ミオが呼んで来る予定の上位の医術師に期待して毒の種類の限定をする。
時間にしてみれば10秒未満だったかも知れないが、俺にはそれが長く感じた。
小火の消火にアズール侯爵令息の気絶に使ったものにリリアの現状維持と毒の種類の限定4つも同時に使っていたのだから。
__主!
漸く、か。
「殿下!……これは__。」
「プロ・ファナルティス。リリアの治療をお願いしたい。彼女はニュクススマイルに犯されている。」
ニュクススマイル。それは体内の魔力が乖離し、一時間未満で死に至る猛毒だった。