虹の翼
「母上、すみませんが姉上達のフォローをお願いしたいしたいのですが、弟である僕より母上の方が姉上達の精神的にも良いかと考えたのですが。」
「勿論。…けれど、ケイオス、無理はダメよ?」かがんで俺の頬を優しく撫でる母さんに
「そうならない様、努力はしますが、手を抜いて失敗して後悔するよりは全力を尽くして失敗する方がまだ良いかと思うので約束出来ません。」
「………仕方のない子ね、誰かさんにそっくり。」
自覚があるのか父さんはちょっと複雑な顔をした。
「あ、それと母上、フェリー姉上が落ち込んでる様であるのなら明日ヴァルカン公爵家のルキウス兄様に会うけど会いたいかって伝えててはもらえないでしょうか?」
「分かったわ。」そう言うと母の護衛役のひとを連れて部屋を出ていった。
俺と父のと俺たちの護衛役だけになった。父が何かしらのハンドサインをすると護衛役の全員が文字通り消えた。
………父さん?
「ケイオス、怖かったろう?」……ッ!!手が震え出す。
いや、手だけじゃなかった。全身も震え出していた。
怖い。イヤだ。
そんな思いだけが出る。
「もう大丈夫だ。誰も居なくなったりしない。」その言葉で涙が出て、止まらなかった。