虹の翼

テレビのノイズが酷くなり、その後の事は見れなくなった。

別のテレビに目を向けるとー

ーーーそれは、宝くじを買って当たった時の映像だった。

俺が運転して美夜は助手席に乗って機嫌良く歌ってる。

ーーーああ、二人で旅行に行った時のか。テレビの中の俺はサービスエリアの看板を見つけて

「次だぞ。美夜が行きたいって言ってたメロンパンの店と串焼きの出店。」すると美夜は

「ホ・タ・テ♪ホタテ♪ホ・タ~テ♪チョコチップ~♪」

………ご機嫌で何より。

その後、ちょうど良い所に駐車スペースにも恵まれ、一旦トイレ休憩した後に最初にパン屋へ向かい美夜希望のチョコチップメロンパン、自販でコーヒー、レモンティーを買うとホタテの串焼きを買いに出店に行った。

また、ノイズが酷くなり、映像が見えなくなった。

ーーー次の映像は、俺の実家のリビングだった。

「ルナ」―――あぁ。これはルナ、実家で飼っていた猫が死ぬ間際だ。

「ルナ、今までありがとう、……お休み。ルナ。」

ーーあの頃を思い出すと今でも泣きそうになる。

老衰でルナは死んだが、一言では言い表せないほど沢山の記憶と物を貰った。

そしてまたテレビのノイズが酷くなった。


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