魔法使いの森と魔女の館
絵になる街に絵になる下っ端君が消えて行って、お店はまた静寂に包まれた。

魔除けのお面が不気味に見えて仕方ない。
逆に良くないものを呼び込みそうな・・・ささっと誰かに売った方がいいのかもしれない。

家と店を繋ぐドアがギギっと唸り、「ニャー」と我が家の使い魔(祖母曰く)白猫のシルキーが入って来た。
シルキーは私の大好きな家族で、綺麗で賢い3歳の女の子。
2時間前に見た時よりもずっと可愛い。

「シルキー、お腹すいたの? ご飯にしようか。今日は、もうお店終わり」

どうせ、もうお客は来ないだろう。シルキーだって呼びに来たことだし。早くシルキーとゴロゴロしたい。

フニャフニャ言いながら足に絡まるシルキーに気を付けながらお店のカギを閉め、カーテンを閉じる前に街を見た。

街の向こう、森の奥の山の間に見える夕日は真っ赤で大きい。
影の濃くなった街の中を、役人、警察、帰りを急ぐ人たちが混じっている。

「誰だったんだろうね。さっきの人」

足元のシルキーは「ニャッ」とだけ答えてくれた。
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