【続】清華魔法学園〜未来選択編〜
兄と妹
side紗久
「待っていたぞ、紗久」
魔法の光を辿って進んだ1本道の先。
そこは静かな地下室、全ての始まりの場所。
そこに1人、お兄ちゃんが静かに笑って立っていた。
「この世界を壊しに来たんだな」
悲しそうにお兄ちゃんが笑う。
「うん。ここは確かに幸せな世界だよ。だけど全てが思いのままの世界こそが幸せなんかじゃない。人は時にもがき苦しみ、幸せじゃない試練にぶつかりながら生きていく。そうして少しずつ、強くなって、本当の意味での幸せを知れるんじゃないかな」
私はここで一度言葉を止める。
そして……
「悲しみを乗り越えた分だけ人は強くなって、幸せになれるんだよ」
私はこれを伝えたかった。
笑顔でお兄ちゃんに伝えたかった。