【続】清華魔法学園〜未来選択編〜
笑顔で伝えたかったのに。
「泣くな、紗久。俺はお前を泣かせたかった訳じゃない」
「……っ」
気がつけば涙が溢れていて。
そんな私を困ったようにお兄ちゃんが見つめる。
いくら正しい言葉を、思いを並べても、苦しいことには変わりなくて。
大きな悲しみほど乗り越えるのに時間がかかり、幸せを掴むまで苦しい思いをする。
その中を懸命に生きてきたお兄ちゃんはもう耐えられなくなってしまったんだね。
お兄ちゃんは私が思っていたほど強くて完璧な人ではなくて、弱くてどこにでもいるような心優しいただの妹思いのお兄ちゃんだった。
「………魂まで魔法のために使ったんだね、お兄ちゃん。同じことを私もしたんだよ?言われなくてもわかるよ」
「………」
私の言葉を聞いてもお兄ちゃんは困ったような笑みを崩さなかった。