ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー

「で、菜箸で卵を少しだけ落として、ジュッと音が鳴れば、卵の1/3を流す」


崇さんの言うことをしっかり聞きながら、卵を混ぜて、音を確認した。


ジュッと響く。


いよいよだ。

緊張する。


唾を飲み込んでから、溶いた卵を流し入れた。


「すぐに菜箸でグルグルッと混ぜる。外側の卵を真ん中に持っていくように」


「は、はい!」


急に早口になった崇さんの言い方に鬼気迫るものを感じ、一心不乱に菜箸をグルグルと回す。


卵がスクランブルエッグのようにグチャグチャになっているのだけど、本当にこれでいいのか。


四角にもなってないのに、綺麗な長方形に焼き上げるなんてできるの?


ええい、もうどうなっても知らない!

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