ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
「ごめんね、その日はバイトがあって」
「バイト?」
真衣が「聞いてない」と言いたそうな顔になる。
知っているはずなのにおかしいな、と思いながらも説明をした。
「そう。先月からケーキ屋さんで始めてね。クリスマスイブとクリスマスは1年で一番忙しいみたいで休めないの」
これは事実だ。
バイトの面接のとき、クリスマスは臨時バイトを何人か追加するくらい忙しいので、
休みは取れないと言われている。
だからこそ、私は働くことにしたのだ。
「バイトだったら仕方ないけど、毎年、なんだかんだと理由をつけて断るじゃない。みんなとだったら楽しいし、私だって、祝いた――」
「あ。今日もバイトなんだ。時間、遅れそう」