ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
お父さんは息をつきながら、ネクタイを外すと、髪の毛に手を入れてセットを崩した。
私は何を話したらいいのかわからず、お茶を一口飲む。
崇さんの淹れたお茶なら美味しいはずなのに、味が全くわからない。
「……学校はどうだ」
お父さんがぼそっとつぶやく。
「どうって、普通」
「そうか」
話は終わってしまった。気まずい。
何を話したらいいんだろう。
変わり映えのない毎日で、これといってお父さんに言うことはない。
話が上手い人なら、こんな状況でも会話を膨らませられるのかな。