ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
「いや、親父さんに頼まれてさ」
「親父さん……って、まさかうちのお父さん?」
「そう」
「頼まれたってことは、もう家に帰ってるの」
「ああ、今日は6時半前に帰ってきたぞ」
その言葉に私は目を丸くする。
「6時半前って、そんなに早く……」
そんなに早く帰ってきた姿を今まで見た覚えがない。
早く帰ろうと思えば帰れる仕事なの?
言葉にならなかった問いかけが胸を重くする。
「送っていくから、ほら」