ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー

崇さんはヘルメットを差し出す。


バイクで家まで送ってくれるらしい。


私はそれを受け取りながら尋ねた。


「崇さんはこんな時間までうちで仕事してたんですか」


「そうだ。今日は茜に料理を教えないから、もっと早い時間に仕事をしてもいいけど、日によって時間を変えるより、いつも同じ時間の方が予定立てやすいだろ」


確かにそうかもしれないと思い、うなずく。


「で、ちょうど仕事を終えて帰ろうかってときに親父さんが帰宅して、ついでに茜を迎えに行ってくれって言われてな。その分もお給料払うって言われたし、それならと思って」


「何それ」


「茜のこと、心配してるんだろ。親父さんなりに」


「心配? あの人が」

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