ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー

「オレは茜が時間になっても帰ってこなかったら、どっかで事故にあってないか心配になるし、顔を見るまで気が気じゃない。

それは親父さんだって同じはずだ。いや、親父さんは親なんだから、オレ以上に平常心ではいられなくなるに決まってる」


私は崇さんの顔を見た。


ヘルメット越しの崇さんの目は優しかった。


お父さんが私を心配すると信じたわけではない。


だけど、これ以上、崇さんを困らせるのは何かが違うと思った。


だから、「わかった」とつぶやく。


私は崇さんに続いて、彼の後ろに乗り込んだ。


タバコの少し苦いような匂いが鼻をくすぐる。


ここに来て、バイクの後ろに乗るってことは崇さんにしがみつかなきゃいけないと気づく。


でも、嫌じゃない。

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