ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
「先に部屋へ戻ってよかったのに。どうしたんだ」
「あー、えっと……そう。食卓を拭こうと思って、台拭きを取りに来たの」
キッチンに置いてある台拭きを取ると、食卓を拭いた。洗って、作業台にかけて乾かしておく。
「おやすみ」
「ああ。おやすみ、茜」
お父さんの穏やかな声を聞くと、いたたまれない気持ちになる。
どうして私がそんな気持ちにならなきゃいけないんだ。
気持ちを振り払うように、急いでその場を離れた。
部屋に戻ると、速攻で真衣に電話をかけた。
真衣は3コールほどで出た。