ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー

父親と服なんて買いに行かないだろうと思う私が間違いではないはず。


それとも、お母さんのいない家庭ではこれが普通なのか?


「ほら、これなんてどうだ」


お父さんは、近くにあったアラン模様の黒いニットワンピースを手に取って、私の体に当てた。


それは偶然なのか、私の好みのもので、可愛いと思う。思うんだけど……。


「こっちの方がいいか?」


次にお父さんが手に取ったのは、花柄の華やかなスカートだ。


冬は暗い色を選んで沈みがちなので、こういう差し色の綺麗なものを一つくらい持っていると、ちょうどいい。


これが全く好みじゃないとか、趣味が悪すぎるような服であれば断りやすいのに、

そうじゃないから困る。

< 193 / 445 >

この作品をシェア

pagetop