ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
それでも、お父さんが選んだものと思うと、素直に受け取ることができなかった。
「いい、いらない」
「それじゃ、これは?」
私は首を横に振る。
何を見せても喜ばない私に、お父さんは困った顔をした。
「何か欲しいものはないのか」
「別に……」
今まで、お父さんからもらうお小遣いで服を買っていた。
そう考えると、自分一人で買いに来ることと、こうしてお父さんと一緒に来て買ってもらうことは何も変わらない。
それなのに、なぜか私の心は褪(あ)せてしまって、何を見てもときめいてくれないのだ。