ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
必要なひと
「お父さん……?」
うつ伏せで倒れている姿を見ても、私はすぐに動けなかった。
何が起こったのか。
頭から血の気が引いていく。
体が冷える。
騒がしいはずの周りの音が遠のく。
世界が凍り付いたかのように静かだった。
自分の鼓動の音がやけに大きく耳に届く。
お父さんの元へ戻らなければ。
それはわかっているはずなのに、まるで足が麻痺してしまったかのように動かない。
頭と体がうまく機能しない。
「お父さん」