ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
何度呼びかけても、お父さんからの返事はない。
倒れたままだ。
私は悪い夢でも見ているのだろうか。
今、見えているものは現実なんだろうか。
足を動かさなきゃ。
確認をしなくちゃ。
覚束ない足取りで、お父さんのそばまでなんとか行った。
近くで見たお父さんは、生きてるのか不安になるほど、顔が白かった。
本当に夢であってほしい。
お父さんまでいなくなるなんて、考えられない。
そのとき、お父さんが「うう……」とうめき声をあげる。
それが私を現実に引き戻す。