ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
「さむっ……! 茜、寒すぎだね」
4時間目の授業が終わり、お昼の時間。
食堂へ向かうため校舎の昇降口から外に出た途端、
隣を歩く鈴木真衣(すずき まい)は両腕で身を抱えるようにしながら、大きな声を出した。
私、桂木茜(かつらぎ あかね)は真衣の姿を見ながら、返す。
「まあ、冬だしね」
「茜、余裕ありすぎ! 寒くないの?」
「そりゃあ、もちろん寒いわよ」
真衣のような大騒ぎはしないだけだ。
冷えた空気が顔や足など、むき出しの素肌を刺すようで辛い。
手はセーラー服の袖の中に隠して、出さないようにしている。
「晴れた空を見たら、暖かそうな気がしたのになあ」