ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
すると、肩を叩かれた。
「大丈夫だから」
後ろを仰ぎみると、いつの間に病室へ入ってきたのか、崇さんが優しい顔で私を見下ろしていた。
「崇さん……」
「働きすぎなのは親父さんと会社の問題だし、オレらにはどうしようもないかもしれない。
けど、せめてちゃんと食事は作って、きちんとした食生活のサポートはする」
「食生活のサポート?」
「ああ。ちゃんと栄養のあるものを家で食べてもらう。今井さんにも、親父さんの食事も必要だと引き継いでおく。
親父さんだって家にご飯があるとなれば、今ほどの無茶はせず、適当なところで帰宅するかもしれない。だから、きっと大丈夫だ」
その言葉を聞いて、ポロリと涙がこぼれた。