ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
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お父さんのための湯豆腐
翌朝、私はお父さんに食べさせるため、タッパーに入ったお粥を電子レンジで温めていた。
昨日、お父さんが目覚めて病院から戻ったあと、
崇さんが食べやすいようにとお父さんのご飯を作りに来てくれたのだ。
昨日の昼は普通のお粥に梅干しや白菜の浅漬けを遅めの時間に、
夜は芋粥で、今日の朝は鶏肉の入った中華風だ。
温まるのを待つ間、私の頭は昨日のことを思い返していた。
昨日は慌ただしくて深く考えられなかったけど、
こうして冷静になると、崇さんはどうしてショッピングモールにいたんだろう。
『偶然……というと嘘になるけど』
崇さんのあの言葉はどういう意味なんだ。
偶然なわけはないと思う。