ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
「今日は何を作りますか」
「湯豆腐にしようかと思うんだ」
「湯豆腐! 寒いから体が温まっていいですね」
「ああ、あっさりしてるから親父さんも食べやすいと思うし、白菜や長ネギなどもたっぷり入れて、それだけで満足できるようなものにする」
「わかりました。で、何をすれば?」
「まずは、この土鍋に水を張って、濡れ布巾で軽く拭いた昆布を一枚入れてくれ」
崇さんは作業台に置いた土鍋と昆布を指差す。
「えーと、綺麗な布巾は……」
「ん」
辺りを探そうとしたら、すぐに崇さんが取ってくれる。
私はお礼を言って昆布を拭き、水を張った土鍋に沈めた。