ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
ちょっと早い気もするけど、構わないだろう。
リビングで新聞を読んでいたお父さんに、「晩ご飯にしよう」と声をかけた。
用意した具材の半分を土鍋に入れ、火を点ける。
残りの具材は様子を見て、食べながら追加をするつもりだ。
「これ、茜が用意したのか」
お父さんは食卓を見て、目を丸くした。
「うん、一応」
「すごいな」
「いや、簡単なやつで、料理ってほどじゃないから」
褒められることに慣れてなくて、むず痒い。
照れてしまう。素直にありがとうと言えばいいのに、言えない。