ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
30分ほどの閉店作業を終え、店長夫妻に声をかけて店を出た。
もう辺りは真っ暗だ。
セーラー服の上に着たコートの前を合わせると、住宅街へ足を向けた。
街頭は少なく、家々から漏れる明かりを頼りに歩く。
暗い道はこの時期だけ、電飾で明るさを増している。クリスマスの飾りつけだ。
だけど、私は赤、青、黄、緑などの電飾で彩られた楽しそうな家を見たくはなくて、
目をそらし、速足になってしまう。
クリスマスだとか、サンタさんだとか、そういうものは私に関係ない。
そうしてたどり着いた一軒家である我が家に明かりが灯っていることに気づき、
残り5メートルというところで立ち止まった。