ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー

手を伸ばし、しっかりと受け取る。


「ありがとう……ございます」


お礼は誰への言葉なのか。


覚えている限りでは、お父さんからのプレゼントは初めてだ。


自分の気持ちがわからないと思いながらも、頬が緩み、自然と笑顔になる。


口や心でどう言おうと、体は正直だった。


        ☆


雑貨コーナーを一通り見て回り、最後にホットチョコレートを購入した。


ホットワインで温めた体は、マーケットを回っているうちに冷えてしまったので、帰る前に飲み物でもう一度体を温めることにしたのだ。


諸々の代金はお父さんだとしても、ここまで連れてきてくれた崇さんだ。


そのお礼に、ホットチョコレートは私のお金だ。

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