ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
残り少なくなったホットチョコレートがぬるくなった頃、崇さんは「帰るか」と言った。
「そうですね、明日も学校だし」
「遅くなったら親父さんも心配するしな」
まただ。
心配。
あれほど否定したかった言葉なのに、もう否定することもできず、返答に困った。
どうしようか、と考えた末、話をそらすことにした。大事な話があったんだ。
歩き出しながら「それより、崇さん」と呼びかけた。
「ん。なんだ?」
「明後日、金曜日の晩ご飯は全部私に作らせてもらえませんか」
「全部?」