ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー

雪はまだ一度も降っていないけど、空を見上げると、いつ降り出してもおかしくない曇り空だ。


空一面が灰色の雲に覆われていて、切れ間はない。


とりあえず足を踏み出してみたけど、寒くて寒くて堪らない。


どうしよう、戻ろうかな。


立ち止まって、辺りを見回す。


誰もいない。


当然だ。


誰がこんな寒い中、外で食べるんだ。


でも、今更、教室には戻れない。


真衣はきっと佐藤さんたちとご飯を食べているだろう。


私が一人で消えたことを怒っているかもしれない。

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