ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
私は保健室を一度も利用したことがないので、養護教諭がどんな先生だったか、うろ覚えだ。
若い男性だった気がする。
真衣は相手からの返事も待たずに上がり込んだ。
保健室で食事なんてしていいのかな、と思ったところで、真衣は保健委員だと思い出す。
道理で保健室に慣れているわけだ。
こちらを見た先生は、私たちを見て顔をしかめた。
眼鏡をかけていて、神経質そうな雰囲気の先生だ。
「鈴木、おまえなー。ここはお昼を食べるところでも、遊ぶところでもないぞ」
先生は立ち上がってこちらに来た。
「保健委員なんだからいいじゃん。友だちは委員じゃないけど、一緒に。ね?」
真衣が私の腕に自分の腕を絡めて、私を隣に引き寄せる。
笑顔を作ろうと思ったけど、引きつってしまう。