ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
「人の目なんて気にせず一人になれる茜はすごいと思う。きっと私なんかより、ずっとずっと強い」
そんなことないよ、と言いたかった。
真衣はきっと私よりも強い。
でも、何をもって強いとするのか。
そんな答えなんて出るわけがない。
きっと誰もが弱くて、誰もが他人を強く感じ、羨むのだ。
他人の気持ちを全部知ることなんて出来ない。
こうやって心のうちの一部を見せてもらっても、それが全てではない。
人は自分の心しかわからない。
いや、自分の心でさえ、自分でもわからなくなって、ままならないものなのだ。
本当は心のうちの比較なんてやりようもないのに、相手の心を決めつけて、比較して、
勝手に自分の方が劣っていると決めつける。