ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー

真衣の言葉につられて空を見上げる。


冬は曇った日も多いけど、今日の空は雲ひとつなく、青く澄み渡っていた。


冬は嫌いだ。

それでも、冬の晴れた日の景色は一年で一番くっきりと見え、そういう時は冬も悪くないな、と思える。


だけど、それは暖かいところから眺めての感想だ。


寒さと痛さで耳の感覚が麻痺してきた今、どんなに綺麗な空でもやっぱり冬は嫌いだ。


セーラー服の下にセーターを着ているとはいえ、コートを教室に置いてきたことを後悔する。


それは恐らく真衣も同じで――と思いかけて、私と真衣の違いに気づく。


髪の毛だ。

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