ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー

「そうだな。どっちかっていうと、一人分だけ作りにくいって方が理由としては大きいかもな。普通は数人前からって感じだし、一人前で具を炊いたり酢飯作るのは手間かも」


「それで、ちらし寿司ってどんな味なのかなって思っていたんです。今井さんが料理を作ってくれるので、できあいを買う機会もありませんし、学食には置いてないんですよね」


「お寿司屋さんに行ったら売ってるんだがなー。学食のメニューではオレも見たことないか」


「一人でお寿司屋さんなんて行きませんもん」


崇さんは少し考えて「よしっ」と頷いた。


「今日の晩ごはんはちらし寿司にしよう」


「え、でも、卵焼きとお味噌汁を作るなら、違うものの方がいいんじゃ……」


ちらし寿司の素のパッケージ写真には薄焼き卵を細く切ったものが乗っている。


これで付け合わせが卵焼きでは、卵が多すぎだ。野菜の副菜など、卵料理以外が良いはず。

< 300 / 445 >

この作品をシェア

pagetop