ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー

目はスマホよりもネギとゴボウを追ってしまう。


見間違いかと思いたくなるけど、スマホの明かりで間違いないことはわかった。


少年が肩から斜めがけしたメッセンジャーバッグから、ネギとゴボウが飛び出していた。


「おまえな、4時半に約束をしてるのに、寒空の下、何時間待たせるんだよ。もう7時も過ぎてんだぞ」


ようやくスマホに目を移すと、19:16と表示されている。


バイトが7時までなので、終わってから着替えて歩いて帰り、まあそんなものだ。


バイト先と家は歩いて10分ほどの距離である。


それより、約束ってなんのことだろう。


今度は少年の顔をまじまじと見た。

< 31 / 445 >

この作品をシェア

pagetop