ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
目はスマホよりもネギとゴボウを追ってしまう。
見間違いかと思いたくなるけど、スマホの明かりで間違いないことはわかった。
少年が肩から斜めがけしたメッセンジャーバッグから、ネギとゴボウが飛び出していた。
「おまえな、4時半に約束をしてるのに、寒空の下、何時間待たせるんだよ。もう7時も過ぎてんだぞ」
ようやくスマホに目を移すと、19:16と表示されている。
バイトが7時までなので、終わってから着替えて歩いて帰り、まあそんなものだ。
バイト先と家は歩いて10分ほどの距離である。
それより、約束ってなんのことだろう。
今度は少年の顔をまじまじと見た。