ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
6
ケーキと真衣の事情
朝、目が覚めると、頭がズキズキと痛んでいた。
「あれ」
頬に手をやると濡れている。
涙だ。
昨日は泣いた記憶なんてないので、眠りながら無意識に泣いてしまったようだ。
「どうして涙なんて……」
答えなんてわかっている。
悲しい夢を見たわけじゃない。
わかってはいるけど、わかりたくない。
私は何があっても何も感じないと思っていたのに、
心の奥底では泣いてしまうほど悲鳴をあげていたというのか。
その事実を受け入れることが嫌だった。