ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー

今、お父さんがいないことに安堵すればいいのか。


怒りをぶつけることができなくて、ガッカリすればいいのか。


それとも、過労で倒れたばかりなのに、働きすぎるお父さんを心配すればいいのか。


どういう感情が正解なのかわからなくて、心が追いつかない。


とにかく朝ご飯にしよう、とキッチンの冷蔵庫を開ける。


「ん?」


何か違和感があった。それが何なのか、冷蔵庫の中を隅から隅まで眺めても、答えは見つからない。


気のせい?


首をひねりながら、朝ご飯と書かれたタッパーを取り出し、電子レンジにかける。

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