ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
みんなが一斉に声のした方を見る。
私も思わず腰を下ろして、教室内を見回し、声の主を確認した。
どうやら佐藤さんのようだ。
佐藤さんと大園さんが真衣に何か言っていて、
真衣は顔の前で手を合わして、謝るような仕草をしている。
何があったのだろう。
喧嘩だろうか。
真衣が誰かと揉めている姿なんて初めて見た。
私は立ち上がり、迷った。
ここで見て見ぬふりをして帰ることは簡単だ。
簡単なはずなのに、それでいいのか……と足は動かない。