ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
ついこの間までは、誰もいない家が当たり前だったのに、
今は心に穴がぽっかりと開いたみたいになる。
「バカバカしい」
首を振って否定する。
寂しいだなんて、そんなわけがない。
否定をして、昔の自分を取り戻さないと、自分が自分でなくなってしまいそうで怖かった。
何より、その怖さを認めたくなかった。
思わずため息がこぼれる。
私、心が弱ってるのかな。
そんな風に考えながらリビングの扉を開けた。
その瞬間、パーンと音が鳴り響く。
何かが飛んでくる。
パッと明かりがつくと同時に「お誕生日おめでとう!」と複数の声がした。