ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
「茜、昨日は帰れなくてごめんな。そして、おめでとう」
お父さんはソファに置いていた赤い包みを持ってきて、私に差し出した。
きっと誕生日プレゼントだ。
それはわかる。
お母さんが生きていた頃のことはあまり覚えていないので、
これが私の記憶の中で、初めての家族からの誕生日プレゼント。
本来ならとても嬉しいはずなのに、私は手を伸ばすことができなかった。
「茜……?」
突っ立ったまま動かない私に、お父さんは不安そうな目を向ける。
そんな顔をさせたいわけじゃないのに。