ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
片手で保冷材を押さえ、もう片手でティッシュの箱を持ちながら、
崇さんについて真衣と一緒に階段を上り、お父さんの部屋の前に着いた。
「ここ?」
「ああ」
崇さんは扉を開ける。
「って、勝手に入っていいの?」
お父さんはあまり家にいないので、鍵がかかっていないならいつでも入れたのかもしれない。
だけど、私は入ったことがなかった。
勝手に人の部屋を漁るなんていけない気がして、扉を閉めたままにしていた。
部屋の中がどうなっているのかもよく知らない。