ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー

そういえば、前にも崇さんはお父さんのことを不器用と言っていた。


私はお父さんのことをそんな風に感じたことがない。


でも、私はお父さんがどんな人なのか知らないのだ。


不器用であるかどうかなんて、知らない。


崇さんは私の目を見て、笑った。


「過労で倒れるくらいだし、仕事が忙しかったのも本当なんだろう。

でも、帰れず渡しそびれて。茜と向き合う時間もなかったから、どうすればいいのか、わからなくなったんじゃないか」


「それ……私みたい……」


止まっていた涙が再びポロッとこぼれる。


私も混乱してしまうのか、すぐに何をどうしたらいいのかわからなくなる。


まさかこんなところに、親子の共通点があるなんて思わなかった。

< 364 / 445 >

この作品をシェア

pagetop