ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
☆
崇さんと一緒に、家を飛び出した。
「どっちだろう」
左右を向いて、私は勘で左に走った。
走りながら辺りを見回すが、それらしい姿がない。
時々、帰宅する人とすれ違うくらいだ。
崇さんは走りながらも、お父さんに電話をかけている。
だけど、何度コールしても出ないようだ。
もしかしたら携帯を持たずに家を出たのかもしれない。
私は今更ながらに、お父さんの電話番号を知らないことを後悔していた。
知らないから、自分で電話をかけることができない。